天然ケーシング
天然腸とは

天然腸とは、ソーセージの原料を詰める動物の腸をさします。別名「天然ケーシング(Natural Casing)」ともいいます。「ケーシング」とは本来「腸」を意味しましたが、「人工ケーシング(Artificial Casing)」が登場してからは、食肉加工時に使用する皮膜全般を意味するようになりました。人工ケーシングとは、不可食性の塩化ビニリデンや、セルロース、また、天然たんぱく質を原料とした可食性のコラーゲンケーシングなどをさします。このようにソーセージを包む袋すべてを「ケーシング」と呼ぶようになったため、人工ケーシングと区別する意味で、動物の腸を「天然腸」または「天然ケーシング」と呼ぶようになりました。

表1:ケーシングの分類

 天然ケーシングは通常、塩蔵又は飽和食塩水などの塩漬け品として取引される事が多いが、小腸や膀胱などでは乾燥品も作られています。
 最近は新しいフィルムケーシングが次々に登場しており、包装材も、多岐にわたっています。天然腸を使用したソーセージは少々形が不揃いですが、通気性、伸縮性に優れているため、肉とよく密着します。さらに天然腸の主成分である良質なたんぱく質繊維が、熱で固まることによって、あのプリッとした張りのある歯ざわりや風味を作り出し、腸詰めソーセージが愛される最大の理由となっています。
  

羊腸とは

ソーセージに使う天然腸には、主として、羊腸と豚腸があります。フランクフルトなど太目のソーセージを好んで食べる欧米では豚腸がよく使われるようですが、日本ではウィンナーなど比較的細いソーセージが好まれるため、羊腸が主流となっています。